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昔から霊感がある私はその会社に入社初日から
冷たくしっかりした不気味な視線を感じた。
その視線は少し上から眺めてくる。
ふと上を見上げるとそこにはガラスケースの中に飾られた一枚のお面。
無機質なお面なのに、
まるで生きているような肉付きのある
生々しさがある不気味なお面。
異様に赤い目。
髪は不揃いで、バラバラの方向に伸びている。
今も伸び続けているようにも見える、不自然さ。
なぜ会社にこんなものが??
横にはお札。
それは飾りと言うより、まるで封じ込められているようで背筋が冷たくなる。
あんなに目立つところに飾っているのに、誰も触れようとせず、誰も話題にしない。
派遣の人たちも、あのお面が存在しないかのように振舞っている。
でも、私にはわかる。
あれは確かにこっちを見ている。
仕事中も、あの不揃いの毛がフッと動いた気がして、何度も目を逸らせなかった。
「入力ミスして…ごめんなさい!!」
つい心の中で呟いてしまうほど、その視線は執拗だった。
やがて3ヶ月の派遣期間もあと少しとなる
勇気をだして派遣仲間に聞いてみた。
「ねぇ…お面気づいてますか?あれこわくないですか?」
しかし、全員がきょとんとして言った。
「お面なんてあった?」
ゾクリとした。
指を差したその先を見て、仲間たちはようやく気が付いた。
「うわっ!!なにあれ!!?気持ち悪い!!!」
「なんであんなに髪の毛まばらなの?え?伸びてる…?!」
派遣さん達がそのお面を見て「目をすぐに逸らしたくなるほど不気味だ!」と言う。
あんなに目立つところにあるお面なのにどうして私だけに見えていたのか。
そして…なぜ今、全員に見えるようになったのか。
あのお面は、ただ飾られていたのではない。
自ら気配を消してこちらを見ていたのかもしれない…。
byむろん


 
       
       
       
       
       
  
  
  
  


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